SUMISOでは3年前から、その恵まれた空間を活かしてアーティストインレジデンス活動を主催している。アトリエが狭い日本のアーティストの制作状況において、このような機会は大変有意義なものである。しかし、実際に制作にあてられる4週間は決して長いものではない。特に今回の会場であるSUMISOのサイズは小さな規模のギャラリーでの個展に匹敵する力を必要とされる。制作力の他に、計画力、実行力が総合的に問われる場になるだろう。
 今回の展覧会のテーマは[シアワセノカタチ Imagine all the people living life in peace.]。戦争の世紀と言われた20世紀が終わり、様々な障害を乗り越え、平和な世紀を夢見た我々の希望がこんなにも早く砕かれようとしている。イマジンの『想像してごらん。みんなが平和に暮らす世界を。』という言葉にある平和な世界とはどんな世界であろうか。ゆっくりと自分と自分をとりまく世界を見つめて欲しい。

私は信じている。
アーティストには幸せを発見する力があるということを。
アーティストには幸せを創造する力があるということを。
アーティストには幸せを届ける力があるいうことを。

広いSUMISOの空間で、それぞれの[シアワセノカタチ]を思う存分表現してもらいたい。また、制作過程は来場者にも公開する予定であり、常に閉鎖された空間の中で制作を行うアーティストにとって作品や制作過程を第三者的視線で見ることや、他のアーティストの制作風景を見ることは現在の自分自身と向き合う稀な機会となるだろう。5週にわたっての今回の企画は温めていたアイデアやプランを具現化する大きなチャンスとなるはずであり、多くの才能が集うことを大いに期待している。
 そして、今回は制作から展示の期間中に数回のアート講座を企画している。日本のアート界の現状では残念ながらアーティスト自らがプロデュース、マネージメント、プレスなどをこなさねばならない。アート講座のゲストは外部からマスコミ、スポンサー企業、ギャラリストなどの関係者を多数お招きしてのトークショーやディスカッションの中からアーティストに求められている課題と解決のヒントを浮き出させたいと考えている。
 最後にこの展覧会は参加しているアーティストと来場者によって創り上げられるものであり、是非生のアーティスト達と触れ合って欲しいと思う。