絵画や彫刻表現を美術大学で学んだり独学で探究する若い5人のアーティストのグループ展が行われる。
自分達の表現の共通項は<日常>や<具象>という言葉のような気がするとのこと。
そこで、展覧会タイトルを存在という意味の『EXISTANCE』と、5人で決めた。
5人での共同作品はないし、共通メッセージも持たないが、展覧会に至るまでに、メンバー集め、タイトル探し、フライヤー作成等のミーティングを重ね、自分中心の制作からいい意味で少し脱線し、新しい視野や姿勢をみつつけつつある‥‥というの
が5人の明らかな共通項だ。
そのことこそが彼/彼女らの繊細で重要な『日常』といえる。
 小林は、例えば『乗り物』という身近なハイテク立体が<平面としてプレゼンテーションされることの面白さを既存の構図から発見>する。その発見をモチーフに用い、ありがちな美意識に問題提議を仕掛ける。
 小谷はテンペラという画材を用いて『人物』を描く。<色彩で何か出来るのではないか>という思いがある。モチーフに寄り添う作家自身の視線の優しい速度が<何か>の答えの一つであるともいえる。
 陰木は<人体に興味があるから‥>と、現代の皮膚である『被服』を表現の中心に取り込む。彼女自身の体感している人体は表面的な美しさと内面的な不条理感を持つ。それを独自の素材感覚で立体表現していく。
 小橋の描く『人物』はモデルに酷似しているそうだ。油絵の具による大小さまざまなストローク感を含むマチエールは<描きたいものがある>という彼の強い意志が、誰のためでもなく彼自身のためであることを実感させる。
 村田はコラ−ジュの技法を利用してアクリル画材でカラフルな『人物』を描く。<今この瞬間の『生』を表現したい>という。彼女なりの瞬間を捕らえようと、塗り分けられた平面が、互いに侵食しつつあるのが近作の傾向だ。
text by 中西美穂

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